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2026.03.02

クマ被害防止に向けた企業のリスク対策ガイド

近年、全国各地でクマの出没件数が増加し、人的・物的被害が深刻化しています。かつては山間部に限られていた問題が、餌不足などを背景に市街地へ拡大し、企業活動にも影響を及ぼすケースが増えています。環境省の速報値によれば、2024年の出没件数は47,000件超、捕獲数は9,700頭超と過去最多を記録し、死亡事故も過去最悪レベルに達しました。
企業においては、安全配慮義務や事業継続の観点からこのリスクを適切に把握し、必要に応じて対策を講じることが求められています。本稿では企業が取り組む主要ポイントを整理しましたので、対策立案の参考としていただければ幸いです。

1.企業が直面する主なリスク

労働災害リスク

工事現場や配送業務、通勤・退勤時などに従業員が被災する可能性があり、対策が不十分な場合には、安全配慮義務違反に問われるリスクがあります。

事業中断リスク

クマ出没に伴う事業所の一時閉鎖、物流ルートの寸断、屋外作業停止などが発生し、工期遅延や事業継続に影響が出る恐れがあります。

レピュテーションリスク

廃棄物管理の不備などによりクマを誘引した場合、企業のブランドイメージが損なわれる可能性があります。

2.事故防止に向けた3つのアクション

(1) 遭わないための情報収集と教育

・自治体や警察が発信する出没情報・マップをリアルタイムで確認し、特にクマの活動が活発な朝夕の時間帯に注意喚起を行う。

・「クマ鈴」や「撃退スプレー」などを社内配布し、使用方法の事前訓練を実施する。

(2) 寄せないための環境整備

誘引物の例と対策(抜粋):

カテゴリ 誘引物例 対策例
食品関連 弁当容器、飲み残しの缶・ペットボトル、飴・ガムの包み紙 屋外放置禁止、密閉容器で保管、毎日回収
嗜好品 タバコの吸い殻、コーヒーかす 指定の灰皿以外への投棄禁止
農業・資材 魚粉・骨粉入り肥料、家畜飼料、放置果実 倉庫内での施錠保管、敷地内の果実樹の早期収穫・伐採
その他 廃油、溶剤 漏えい防止、においの管理強化

クマはわずかなにおいにも反応するため、職場環境の管理徹底が不可欠です。また、草刈りの徹底や視認性向上などの物理的対策も有効です。

(3) 逃げるための明確な行動指針

・出没時の通報ルートや退避基準を事前に設定しておく。

・「クマを見かけたら即時作業停止」など、現場での運用ルールを徹底し、重大事故を防ぐ。

※(ご参考)各業界の取り組み事例

➣製造業:AIカメラによる早期検知システム、電気柵やフェンスの強化

➣運送業:ドライバー端末へ最新の出没情報をリアルタイム提供

➣小売業:自動ドアの半自動化、生ゴミ回収容器の堅牢化

➣建設業:電子ホイッスル・ラジオなどの携行を義務化、監視員配置のガイドライン化

3.法制度の動き

2025年4月より改正鳥獣保護法が施行され、市街地での緊急銃猟が可能になるなど、法制度も変化しています。企業においては、法令遵守だけでなく、平時からの教育・環境整備・リスク予見が重要なポイントです。

4.外部情報リンク(参考)

おわりに

一部の保険会社では、クマ出没に伴う事業中断リスクを補償する商品開発も進んでおり、企業を取り巻く環境は少しずつ整備されつつあります。弊社リスクコンサルティング室では、必要に応じたサービス提供会社の調査・選定などをご支援いたします。是非お気軽にお問い合わせください。